店側の自己メンテリスクの警鐘、高難易度のメンテに釘付けにする動画師、ブログネタで煽るブロガー、ただの分解動画の機材、メーカー公式動画の設備・・・誰だ、どれだ、DT SWISS硬い固くイメージさせて二度と外れないようなイメージにさせた要因は・・・

前回の苦労でさらに染み付いた難しさのイメージ

前回、ROVAL CLX 64でDT SWISSのリングナットととゴムと金属で出来た謎シール(シールハブシェル)を2週間かけて開放したことがあった。

結構しんどかったのが記事の回数から見て思い出してしまった。当時の挑戦と車輪止めに挟んで成功、そして現在の工具を買うまで、ネット情報を総てと思い先人たちの苦労をすっかり真に受けては洗脳され「外れない」という前提に意識が向いていた。

とにかく、コストを掛けずにDT SWISSのリングナット?ナットリング?ラチェットリング?を外して奥にある6902ベアリングをメンテナンスや交換をしたいだけなのだ。

DT SWISS リアハブパーツ正式名称のおさらい

どれが固いのか外したいのかはっきりさせておこう。

専用の黒いパーツを嵌めて回すところが「6番」これが「リングナット」だ。ラチェットリングでも、ナットリングでもない。
そして、もしかして外すのが難しいわ固すぎるわの大元ってここが原因じゃないか?と疑われるパーツは「7番」これが『シールハブシェル』である。ここの部分、圧入されているのだ。

リングナットを回して、シールハブシェルの圧入を開放する、これで2番の6902サイズのベアリングにアクセスできるようになるのである。


表題に至るまでの起点

ROVAL CLX 50 のベアリングが渋いのでTNIのセラミックベアリングに交換したい。

そんなに距離も乗っていない、2000kmも乗ってない。そもそも買って納品されたときから渋いのである。文句言ったけど「こんなもんだ」と言われてしまった。おかしいだろと思い続けて5年・・・2012年の初期型ROVAL CLX 40はそんなことないぞ、いまでも1度もメンテせずゴリ感渋さなくツーっと回り続けている。

ROVAL CLX 64に続き、ROVAL CLX 50もメンテナンスをキメたい。この思いが強まり、ナットリングを回すという行為、あの地獄の硬さに勝負を挑む。

やったこと

1:凝りもせず1回目の成功体験をなぞって車輪止めに挟み込む

最高のイメージが染み付いた昔の成功体験をなぞって軽々しく仕上げようとする老人。リングナット(ナットリング,ラチェットリング)は工具ごと回転し始め、車止めが削れていく・・・失敗

車止めにおっさんが自転車のホイール横にして踏ん張ってる画はやばすぎる、2度ほど子どもを引き連れて世間話しながらトライしたが客観的に見てヤバい家族だ。
もうすこしってとこで工具が回ってしまい、さらに車止めがえぐれていく・・・やばい・・・・
網目にも挟んでみたがレンチが滑って側溝に落ちてしまい、取り出すのに10分掛かる始末・・・これ以上世間に晒す作業は限界・・・成功しない。。

諦めてやったことは、外れない周辺を気休め程度にリングナット、シールハブシェル周辺にラスペネを吹いて寝かせたのはやった・・・・影響ないと思うけど。

2:ビバホームに駆け込む

そもそも200mmのモンキーレンチしか持ち合わせない大人の姿が悪いのではないかと疑い始める

家にある200mmのモンキーレンチで右手が内出血するまで力込めて全く動かない。ホームセンターに駆け込んで工具を物色する。
300なら?375mmなら?450mmなら?を元理系が雑に計算を始める。しかし、DT SWISSのリングナットとシールハブシェルハブを外すだけで10000円の出費まで検討しないと行けない状況。やばいな・・・落ち着こう、費用対効果に大きな懸念がありビバホームを後にする。

3:何に投資をするのか?を考える

側溝の溝、約28mm〜29mmの幅に合うモンキーレンチも探した。

ビバホームを後にする間際に踏みとどまり、250mmのサイズで柄が28mmクラスのが800円で大量に吊るしてあったのを見て、俗に言う回せれば良い安物シリーズを眺める。作りもバラバラ、メジャーを持っていったので測りながら3本ノミネートしたが、また市中で晒し者になりながらやるのは現実的じゃないとメジャーという鞘を収めて帰った。

メルカリで探した、そして買った。

ロブスターの450mmクラスが送料込み5000円で出ている・・・・ビバホームの半額だ、しかしほぼ1度しか使わないのにこんな巨大な工具が家で鎮座し続けるのもどうなのかと悩む。
最終的には350mmクラスのキレイめ仕上がりのオシャレなメガネレンチが1000円だったので買ってみた、成功するか分からない。コレでだめなら腹をくくるしか無い。

4:22mm-24mm、約350mのメガネレンチが届き、試技

ツルツルしておしゃれ、使えなくても手元に置いておきたいくらい触り心地が上品。さていけるのか・・・

結果:あっさりと開放

ホイールを地面に押さえつけ、全体重を右手に乗せると、グギギギと回り始めた

ここで疑問

回り始めたときに、嬉しさとともに「何を回していて何を外したかったのだろう」というのがふと浮かんだ。

冒頭に書いた情報源では、漕げば漕ぐほど締まり、トルクが高ければ高いほど外れなく固く外れない?らしい?

情報が頭に焼き付いていたいたのだけど、この「グギギギギギ」って音

音の発生源は圧入されたシールハブシェルだよね。

奥のネジが固いのではなく、圧入されたシールシェルハブを押し出したいってことだよね。

DT SWISSのリングナットの取り外しが硬い理由

✗ ネジが締まりまくって硬い

○ 圧入された部品(シールハブシェル)が硬い


今後はこの仮説を信じていきたい。
現に外してみると、リングナットには白いグリスがみっしり塗られている。これはロックタイトとかの滑り止めではない。
ネジを締めた後は奥の黒いワッシャーに当たるか、アルミのねじ切りの終わりまで入って終わりなのだ。構造上ラチェットリングとリングナットが噛んでトルクが掛かることには間違いないが、1500W荷重かけたところでそれはクランクであってハブに同じ力が掛かっているわけではない。ペダル〜クランク〜フロントギヤ〜チェーン〜リアスプロケ・・・そんな力掛かるか疑わしい。

外したパーツのネジ部分は白いグリスに覆われていて固く締めようって意識はない。

外すのが硬いって情報も実際少ない

これって、外すのが硬くて辛いし難しいではなく、普通に外せるのに、外せなかった苦労話を意図的に掲載しているのかもしれないと思い始めた。

外し方を掲載している情報が意図的に厳しいと煽っている、YouTube動画では大層な万力を用いて踏ん張ったり叫んだりシている外国人の姿を見ると硬そうだと思ってしまうのかもしれない。

でも、パーツは圧入されている部品を抜くので、ある程度はトルクは必要だ。
個人的な仮説を以て、やっとこのハブのメンテナンス=難しい=店に依頼する等式を払拭できた気がする。

あとは粛々とベアリング交換を実行し、個人的な評価は最悪のセラミックスピード社のベアリングとおさらばすることである。

ROVAL CLX 50 のCERAMIC SPEED社とスプロケ側のよく分からないスチールベアリングを総てTNIセラミックに置き換える

頭数が合ってないのは、前回6802と6902の発注数を間違えたことが原因

その他リングナット(ナットリング,ラチェットリング)で気づいたこと

圧入すると渋くなる、精密な工具わざわざ買ったのにな・・・・

なんか、極力圧入をしてはめたのだけど、圧入なのに回転が渋くて何度もやり直した。出すときは叩き出すのでリスクが発生しまくりなのだが、何度圧入しても渋い、なぜかゴリ感が出る。
DT SWISSの公式メンテナンス動画を観ると、叩いてベアリングを圧入しているところが随所に見られて、試しに叩いて入れてみた。

叩くとツルッツルに回る・・・

複数の叩いて入れる部材を駆使して叩き入れる手法を試みたら、

ゴリ感も渋りもなくツルッツルに回転しだした。マジかよ!

このブログの質問でも、オークションでもフリマアプリでも、ベアリングを入れるのも出すのも、叩いたのか圧したのか問われるのを何度も見ているけどどうでも良い話だと感じた。圧しても渋くては意味がない、渋かったセラミックスピードも叩いて入れたら・・・もしかするとスルッと回るのかもしれない。

いずれにせよ、セラミックスピードの価格が高いし値段相応の品質を出しているとは思っていない。値段相応の仕事を低回転クラスのベアリングで何を持ってしてるのか。だからROVALは売れない、高いし、そんなラグジュアリーじゃないし。

というわけで、まとめると

長めの工具でリングナットとシールハブシェルにトルクを掛ければ外れそうというお話でした。