何が難しくて殻割り職人の手掛けるXEONに高い価値があるのか。
実は大したことないんじゃないか?

ハードルを上げる要因

「やってみよう」「これなら自分でも出来そうだ」と二の足を踏んでいるのは、いま検索して引っかかる情報群にあるんだと思う。

その情報たるや、無理くり割ろうとしてCPUダイごと剥がしてみたり、汚い作業環境で雑な画を繰り出す感じ、割れました動きましただけで、その経緯がないもの、動画では寸劇しか出さない、といった1発勝負でドキドキしているのは分かるんだけどなんか科学的じゃないというか、見た人はそんなこと知りたいのだろうか、もっと別の情報を拾いたいはずだ。

この一見ハードルを上げているような情報群が、殻割り職人の売るXEON CPUの高騰を手助けしているのかもしれない。

もし、あたしが高く売ろうとしているなら、破壊している画と記事と動画でハードルを上げまくって自己責任での作業を避けるべきと勧めオークションやフリマアプリへ誘導するだろう。代わりにやってくださいとお願いされる状況を誘発し、みんなビビって行き高く売れるはずだ。

何がハードルで壁なのか

1つ目は、ゴムシールを剥がすときに、どれくらい差し込めばよいか(深さ)。
2つ目は、CPUとヒートスプレッダを接着しているソルダー(ハンダ)が剥がれる温度や圧力。
3つ目は、ダイに付着・残存するソルダー(ハンダ)の除去と清掃。

こんなところだろうか、つまり全部だ。殻割りすべての工程がハードルで壁なのだ。

それを科学的に触れている情報は多分ない。やってみました、割れました(失敗しました)、成功しました、動きました、ベンチマーク良いっす(旧CPU比)の1点張り。温度はどうした、温度は。

やっぱ温度、1番タチが悪いのは殻付きと殻割りの明確な温度差や性能差を出しているのが一切ない点。

いま、これを書いている時点で本番のX5690 x 2は殻付きでMacPro2009で動いている。ごくごく個人的には殻割りをしても温度も性能も変わらないと考えている。放熱しやすいとしても全体的な発熱量が変わるわけではないので、やる意味が「MacPro2009に殻付きを強引に置くのは怖いっすよね」くらいしか思いつかない。だがそのMacPro2009の殻付きXEON 5690 x 2が2年前に家に来てからずーっと稼働を続けているがなんにも不都合がない。

 

話を戻すと、1つ目のゴムシールは2時間かかったとか書いてある記事もあり、2個目は楽だったとか根拠もなにもない情報で受け手側はどう解釈していいのだろうか。つまりは、自分でやってみるしかないか。

2個で900円のXEON E5640を購入して殻割りのテスト

結論を先に行ってしまうと「成功」して「ハードル/壁を超えることが大変だった」となる。これではそのへんに散らばるブログと一緒だぞ、同じ苦労話書いたって仕方ない。苦労したけど苦労話は書かず、知るべきことと文句をツラツラと書いていきます。

動作品買ったけど、これMacProで認識しないモデルなのね・・・

1つ目の壁を超えるための機材

情報が多いのだけど、ゴムシールを切っていくのは、左上の2つでとりあえずOK。あとラスト貫通を確実とするためのテレカを用意しておこう。

100均で売っている2本セットのカミソリの1本、この刃だけを使う。引っ張れば簡単に分解できる。剃刀の刃を抜くときはペンチなど指をけがしないように引き抜こう。律儀にT字カミソリの刃を使っているものがほとんどだが、刃の長さが基板に良い感じで合う、できるだけ薄いものを。

あとは差し込むとき手が痛いので指が当っても痛くないように貼るマスキングテープ。後に差し込める距離のバロメータにもなってくる。

ダイソー行って220円でまかなえる、家にあれば0円。

1つ目の壁、何ミリ差し込めるのか?

チップ抵抗を剥がしてしまう、破損させてしまうなどの危険性に対してどうアプローチすればよいのか?
答えはかんたんだ、距離を測ったら良い。

ヒートスプレッダの凹んでいる側:約6.81mm
ヒートスプレッダの凹んでいる側から見て左側:約7.56mm
ヒートスプレッダの凹んでいる側から見て右側:約10.92mm
ヒートスプレッダの凹んでいる側の対面:約6.83mm

つまり、6.8mmを超えるとチップ抵抗に当たる可能性が出てくる。カミソリの刃が当ったくらいで取れるはずのないチップ抵抗なのだが、電気系統弱い人にとってはビビってしまう点である。なので、6.8mmを超えないでカミソリの刃を差し込んで行くと良い。

作るべきもの:6.3mmくらい差し込める目安シール

手持ちの100均カミソリは、穴の真ん中くらいが6.2mm〜6.3mmで分かりやすい。

マスキングテープでも十分だが、厚めのテープをして裏側にして差し込むとテープが基板に当って差し込みが止まるって寸法。最初ゴムが抵抗して、刺しづらいし抜き出しづらいから斜めにグリグリしだすと抵抗に当たる可能性もあるので気になる人は慎重に。

こんな感じでゴムシールは貫通しつつ、チップ抵抗には当ってない状況が作り出せる。
これを4辺、4箇所貫通させるように通していく。理論上こいつをガシッと真っ直ぐ差し込めば一撃で終わるのだ。

マスキングテープで保護

表は念のため
裏は結構、地について作業を行うことがあるので1枚は貼っておこう。

カット

苦労しているときの画、6.3mmの目安があったほうが圧倒的に楽。
最初差し込めないかもなので、ザクザク差し込んで。

4箇所全てに、刃がまっすぐ6.3mm収まるよう刃を何回も差し込んで確かめる。

仕上げ

テレカやテレカ厚の薄手カードをチップ抵抗があるところまで、差し込む。4辺、4箇所突き当るまで確実にまっすぐ差せる状態を確認したら「ゴムシールは剥離した」と確信して良い。1つ目のハードル/壁を突破したことになる。

まとめ

刺せる距離を知れば怖くはない、iPhoneをひたすら分解と組立を行っていた時期に比べたら自転車の掃除をしている感覚である。

次回は、2つ目の壁「ヒートスプレッダを剥離する」作業について書くことにしよう。

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Last Update: 2024-03-01