オークションにて
「11Tと12Tのギヤ(ギア、以下ギヤ)が欠けてます」というリスク付き懸念付きのカセットスプロケット(DURA ACE CS-9000 11-28T)を見かけ、そして落札した。
中途半端なセリが発生し、半ば中途半端に落札しただけに、時間が経つごとにゴミを掴まされたかと不安が湧いてくる、ああ、確かに見ると欠けているように見える。これは気になりだした、調べても1件くらいしか出てこない。
シマノ製カセットスプロケット、CS6800,CS-8000,CS-9000,CS-R9100のギヤが欠けることがあるのか?ギヤが欠けるのか製造ロットに見られる改良やマイナーチェンジの仕様なのか調査する。
所有するカセットスプロケットのギヤ構成が11-28Tばっかりであるので、11-28Tに特化した条件下においての調査となる。
クランクとギヤ、スプロケが回転する方向を考えたとき、正面から見て左側から徐々に削れてくるのは理解できる。右側が欠けるというのは考えにくいという見方もできるのだが・・・
製造ロットや貴重な目線の記事
唯一、スプロケの仕様で形状が異ることに対して研究された方のブログによれば、ロットによって形状が異ることを発見していた。
新型ULTEGRA R8000 変速系コンポーネントの調整のポイントと初期インプレでも欠けたような部分について記事としている。
ロットを示す刻印は上の写真だと、11Tが「PJ」、12Tが「PK」と書かれている。
ネットにて
「CS-9000 11-28T」という検索ワードで画像検索を行う。
CS−9000 11−28T 公式メディアキット画像
CS−9000 11−28T 海外の中古サイト
SOLD OUT – USED Shimano Dura Ace CS-9000 11-28t 11 Speed Cassette Road TT Tri CX Gravelにある中古商品を見ると、11Tに確実にオークション出品物と同じ形状の欠けのようなものが見える。また、分かりづらいが12Tにも少なくとも1箇所は同じような形状をした欠けのようなものを確認できた。12Tが2箇所確実に欠けているような感じを発見できれば処理されたものだと言えそうなんだけどなかなか出てこない。ロットを示す刻印は11Tが「QT」、12Tが「RA?」とある。
Shimano Dura-Ace 9000 11-Speed CS-9000 Sprocket Wheel 11T (Built In Spacer Type) FOR 11-23T,11-25T,11-28T – Y1YC11000
overstockという海外サイトにあった商品画像。11Tの単体画像ながら、右上の1箇所が欠けているようにも見える。
Shimano Dura-Ace 9100 11-Speed CS-R9100 11-28T
現行型最新モデルのCS-R9100 11-28T。これは11Tに確実に欠けたような処理が見えている、手持ちにあるCS-R9100の11-28Tも同じである。ということは、少なくとも11Tはギヤの歯が欠けたのではなく改良、改善で処理されたものと推定できる。
ネット情報ばっか書いてんじゃねぇよ
雷´∀`)ノ と言われそうなので、自分で所持しているスプロケットを見てみよう。
D140の所有するULTEGRA CS-R8000 11-28T カセットスプロケット
D140の所有するDURA ACE CS-R9100 11-28T カセットスプロケット
まとめ「歯がかけているように見えるのは進化しつづける仕様の証」
画像を検索しまくっても歯が欠けたような処理をしている画像があまり出てこない。
CS-9000の発売当時、初期ロットの記事や装着・レビュー・カスタム系の記事が検索に引っかかることが多かった。メルカリの中古品も多く見受けられるも画質がしょぼくて歯の形状まで追うことができなかった。
一連の調査と自身の持つカセットスプロケット(車体に付いた初期型のCS-9000系は見れてないんだけど、それは一番上にある画像の商品が届いたら追って投稿予定)から、
初めて11速化したその時代、CS-9000の発売初期のロットでは100%のパフォーマンスが出ていなかったのかもしれない。
「ギヤの入りが悪い」「ギヤの戻りが悪い」「なんかデュラのくせにもたつく」「スパイダーのピンが飛んでいってなくなったんだけど(実話)」とか、プロや一般人のフィードバックが集まったのかもしれない。
そういった中でCS-9000が製造過程でマイナーチェンジをしたロット(歯が欠けたような処理をしたモデル)が存在している、存在していた可能性が高い。
CS-9000の最終形状がCS-R8000に受け継がれた。
所有するCS-R8000と、オークションで落札したCS-9000の11T及び12Tの形状(11Tが1箇所、12Tが2箇所欠けている)が全く一致する。そして、初期型のCS-9000はこの形状とは異なる。
CS-9000の改善・改良を加えられた最終形態@マイナーチェンジ(そういえばSTIレバーも変わったっけ9001とか)したスプロケこそ、R9100系統が登場する直前まで改良が加えられた最新で最高形態のデュラエース9000系のカセットスプロケットと呼べるだろう。オークションで「11Tと12Tのギヤ(ギア)が欠けてます」という説明文は間違っていたことになる。
しかし、ネットで出てくる情報はCS-9000のメディアキット画像であったり、インプレッション、レビュー、買いましたブログの発売当初のアーリーアダプターの情報で埋め尽くされていると「ギヤの歯が欠けているように見える」というのは、至極ナチュラルな判断であり、その結果、不良品と判断する人が出てくるのも理解できる。
雷´∀`) メーカーも言わないからねぇ。。よっぽど店に入り浸って情報交換していないと知るのは無理!
最初にも書いたけど、チェーンが掛かる側が欠けたり削れていくのは分かるけど、欠けているように見えるのは逆だからね。
デュラからアルテに継承されていくなかで引き継がれ、CS-R8000でもギヤが欠けているように見える歯は正常の仕様である。
そしてCS-R9100は新たな形状が導入された。
デュラエースは最新技術が投入される。同じ技術では新しいものは売れない、他社に追いつかれ追い抜かれる。だから高速側の変速ギヤも更に改善していく必要がある、それくらい完成していない場所なのかもしれない。
おなじ画像になってしまうが、スプリンターが最も使用する勝負ギヤとなればプロのフィードバックも多いことだろう。細かい進化をし続けるパーツの世界、まだまだ知らないことが多い。
つづく。。